長瀬ランダウア株式会社
  • ご意見・お問い合わせ
  • English
メニュー

放射線の農業利用

ジャガイモの発芽防止

皆さんは、食べないでほったらかしにしておいたジャガイモから芽が出てしまったという経験はないでしょうか。一般に、芽が出たジャガイモはそれを取り除いてから食べます。しかし、いったん芽が出ると、栄養がそこに吸収されるのでジャガイモの栄養価は低くなってしまいます。さらに重要なのは、ソラニンという毒を生成するので、もし誤って摂取すると腹痛などの中毒を起こす場合があるということです。そのため、厚生省(現厚生労働省)の許可を受けて、ジャガイモの発芽防止のために北海道のみでコバルト60のガンマ線照射が実用化されています。ジャガイモは照射食品の国際一般企画に記載される食品であり、現在照射されている線量ならば、毒性学的、栄養学的に問題がないとされています。また、照射をすることによって、ジャガイモが放射能をもつようになることもなく、数ヶ月間の保存にも耐えるようになります。
照射されたジャガイモの量は年間1万~1万5000トンに上ります。これは北海道の生産量の約10%であり、日本全国に流通しています。食品衛生法で、ばら売り以外は包装容器に「照射されたジャガイモである」という表示が義務付けられていますので、興味を持たれた方は確認してみるのも良いかもしれません。

穀物や花卉の品種改良

放射線を植物に照射し、その品種を改良することを「放射線育種」といいます。
最近、豆乳がブームだといわれています。この豆乳、昔と比較して青臭さが減り、飲みやすくなったと感じられる方も多いのではないのでしょうか。それはきのせいではありません。放射線育種により、突然変異を誘発させて、青臭さの原因となるリポキシゲナーゼという酵素を完全に欠失した「いちひめ」という大豆の開発によるものです。もちろん、遺伝子組み換え大豆ではありません。
他の放射線育種植物では、風などの影響に強く倒れづらい「レイメイ」や、収穫量が多い「アキヒカリ」などの稲が有名です。スーパーなどで見かける純白のエノキタケも、褐色にならないよう改良されたものです。花では、日本で園芸化が進められ、急速に人気が高まってきているトルコギキョウがあります。トルコギキョウは大輪花の品種が多いので、小輪で多くの花をつける生け花に向く品種が開発されました。照射は、トルコギキョウの幼苗に、開花時期までおこなわれます。
品種の改良と聞くとまず「遺伝子組み換え」を想像される方も多いかもしれませんが、こうした分野でも放射線が使われているのです。

害虫の駆除

放射線を利用して害虫を根絶させる方法に「不妊虫放飼法」があります。この方法で、ゴーヤやキュウリなどの野菜に寄生する「ウリミバエ」や、柑橘類などに寄生する「ミカンコミバエ」を根絶しています。駆除の当初は、強力な殺虫剤を使用していたのですが、ハエの繁殖力が旺盛であることに加え、抵抗性を持つものも増えてきたため、あまり効果は上がりませんでした。さらに、殺虫剤による環境汚染も懸念されました。そこで、考えられたのが放射線を利用することでした。
工場で人工的に繁殖させたハエのオスのさなぎに放射線を照射して不妊化し、これらを野外に放ちます。その結果、これらのオスは時期が来てメスと交尾をしても、卵は孵化することがなくなるのです。実際に、この操作を繰り返し行うことで、害虫の数はだんだん減っていきました。
現在は根絶に成功したため、この照射は行われていないそうです。